
とある夫婦と金アクセサリー買取の話
私の友人の体験談です。
彼女は10年ほど前に結婚したのですが、その夫と言うのが非常に経済的、というか…ケチな男性でした。日々の生活消費のいちいちに口を出し、彼女自身が買ったものを丹念にチェックするような人なのだそうです。毎週の生活費予算を立てさせ、週末には家計簿を見ながらの反省会を催すのが習慣でした。彼女はやがて、モノを買う行為自体に罪悪感を感じるようになり、精神的な負担に悩まされるようになります。元々丈夫なほうではありませんでしたが、やがて不眠症や季節うつが酷くなり、会っても常にげっそりと疲れ果てているような状態。私も見ていて不憫に思うことがよくありました。
その彼女がある時、久しぶりに晴れ晴れとした表情で私の家にやってきました。何かいいことがあったの?と聞くと「金の買取をしてもらったの!」と言います。何のことかよくわからず、詳しく話をきくと、旦那さんにもらった金のアクセサリーを全て専門店で買取してもらったのだと言います。
例のケチ旦那さんは「これからは金の価値だ」と言い、彼女にたまに贈るプレゼントには全て金製のアクセサリーを購入していたそうです。しかもそのデザインが時代遅れで、彼女に全く似合っていないものばかり。さらには「このペンダントは〇〇店で〇%引きだった所を、さらに値切りに値切って〇円で買った!」という倹約武勇伝を耳にタコができるくらい聞かされたのだそうです。爆安で買った嫌なデザインのものを、彼女は作り笑顔で受け取っていましたが、とうとうその我慢にも限界が来たのだそうです。
「その買取店で専門の人によく話を聞かせてもらったら、本当に価値なんかあるのかないのかわからない安物だったのよ。これから私は金属アレルギーになった!って言って、一切アクセサリーを着けない宣言をしたから、すっきりと売っぱらっちゃったの!」
これから彼女と旦那さんがどうなっていくのかは私には予測がつきません。ただ旦那さんが「女性」と「金(ゴールド)」の関係を見誤っていたことは簡単にわかります。大切な人を美しく飾りたい、という純粋な念からでたのであれば、たとえ妙なデザインの安物であったとしても、奥さんはそれを身に着けていたでしょう。金の価値ばかりを考え、たまたまそれを妻の装飾品にかけた…こんな考え方は本末転倒というものです。金アクセサリーは買取されてしかるべきだったと思えます。